未公開株式の公正価値評価の促進

日本政府は、スタートアップ企業やベンチャーキャピタル(VC)ファンドに対する投資環境の透明性と信頼性を高めるため、「未公開株式の公正価値評価の促進」を図る新たな規則を導入しました。これにより、投資事業有限責任組合(LPS)が投資する資産の評価が、公正価値評価を原則とすることになりました。

投資事業有限責任組合(LPS)とは
投資事業有限責任組合(LPS)は、業務を執行する無限責任組合員(GP)と有限責任組合員(LP)が出資を行い、その出資金を基にして共同で投資を営む組合です。この仕組みは、特にVCファンドに多く活用されており、スタートアップ企業への資金供給を支える重要な役割を果たしています。

公正価値評価の導入
令和5年12月5日付で、「投資事業有限責任組合会計規則」が改正され、LPSが投資する資産の評価について、公正価値評価が原則とされました。これにより、未公開株式の評価方法が透明化され、投資家にとっての信頼性が向上します。
● 評価方法: 公正価値評価を原則とする
● 規則の改正: 「投資事業有限責任組合会計規則」に基づく

スキーム・要件
LPSにおける未公開株式等の評価方法については、以下のスキームが適用されます。
1. LPS(VCファンド)
○ LP出資者: 出資を行う投資家
○ 非上場企業: LPSが投資するスタートアップ企業
2. 評価方法
○ 財務諸表等: LPS会計規則に基づき作成
○ 公正価値評価: 規則の見直しにより、公正価値評価を原則に位置づけ
○ 監査: LPS法に基づく監査および他の法令等に基づく監査

利点と期待される効果
この新たな評価方法の導入により、以下の利点と効果が期待されています。
1. 透明性の向上
○ 投資資産の評価が公正価値に基づくことで、評価の透明性が向上します。
2. 信頼性の向上
○ 公正価値評価により、投資家にとっての信頼性が高まり、投資環境の健全化が図られます。
3. スタートアップ企業への資金供給の促進
○ 評価の透明性と信頼性が向上することで、スタートアップ企業への資金供給が促進されます。

まとめ
未公開株式の公正価値評価の促進は、日本のスタートアップ企業と投資家にとって重要な施策です。投資事業有限責任組合(LPS)による公正価値評価の導入により、投資環境の透明性と信頼性が向上し、スタートアップ企業への資金供給が一層促進されることが期待されています。政府のこうした取り組みを通じて、日本のスタートアップエコシステムがさらに強化され、経済成長に寄与することが期待されています。

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