カナダでの銀行買収と発展途上国での銀行設立
カナダは前回の記事で書いたように政府が銀行を手厚く保護しているため、身売りする銀行が少なく銀行買収はチャンスが少ない国です。しかし、カナダは先進国の中ではリーマンショックからの回復が早かった国です。物価も上昇しています。
そのためカナダ銀行(中央銀行)は、010年6月1日に主要政策金利である翌日物金利の誘導目標を0.25%引き上げ、0.50%としました。リーマンショック以降に先進国で利上げに踏み切ったのは、カナダが初めてです。
カナダは政治・経済が安定しているので、銀行を設立するには良い環境なのです。銀行買収の機会が少ないとは言え、自分お銀行を持つのに魅力的な国であることは間違いありません。
一方、発展途上国(オフショア)での銀行設立は、これまで紹介してきたように先進国より遥かに楽です。しかし、設立は簡単ですが困った要素もあります。
銀行にとって政府との関係は極めて重要です。その国の政権が不安定で、テロや暴動やクーデターが頻繁に起こるようでは困ります。クーデターが起き軍事政権に変わって、個人資産を没収されるリスクだってあります。
発展途上国は先進国に比べれば治安は悪く、クーデターの危険性も否定できません。
また、発展途上国では政府高官などに「賄賂」を渡すことは不可欠になってきます。特に、政府の許可が必要な銀行設立は政府高官への「賄賂」なくしては一歩も進まない、と言っても過言ではありません。
道徳心が高い日本人には「賄賂」に対する嫌悪感がありますし、「賄賂」を受け取るのが当たり前になっている政府高官を信用できるかは、極めて疑問です。
発展途上国で「賄賂」を使って「銀行運営」という利権を買っても、その国で安定して銀行運営ができるかは疑問が残ります。
発展途上国での銀行設立は、コストが比較的安価で手続き的にも簡単にできるというメリットはありますが、上記のようなデメリットも存在します。リスクの高い発展途上国(オフショア)で銀行を設立したり買収したりするよりも、カナダのような先進国で堅実に銀行運営を目指すとう選択肢もあります。
発展途上国(オフショア)にもリスクの大小はありますから、メリットとデメリットを比較して、どの程度のリスクであれば許容できるのか、あるいはリスクヘッジをすることで避けることができるものなのか、事前に明確にしておくことが大切です。
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