政府の富裕層マーケティング政策情報をビジネスオーナーとして入手する(文化庁事例)

文化庁は、「上質な観光サービスを求める旅行者の訪日等の促進に向けた文化資源の高付加価値化促進事業」と銘打ち、国内における上質なインバウンド等の観光サービスを創出する取り組みを支援する事業に取り組んでいます。地域ならではのコンテンツを醸成させ、宿泊施設や観光スポット、それに関わる人材の育成のための調査を国が委託して行うというものです。

近年、世界における日本への関心の高まりから、訪日外国人観光客は増加の一途をたどっていました。世界規模で新型コロナウイルス感染症が蔓延し、国と国の行き来が難しくなった今でも訪日のニーズは高く、今後のウィズ・コロナ時代においてもインバウンドは大きな可能性を秘めていることが考えられます。観光庁はコロナ以前から2030年の目標として、訪日外国人旅行者数6,000万人、訪日外国人旅行消費額15兆円を掲げていました。ただ、これまで日本の観光は薄利多売の傾向が強く、今後は限られた数で順次旅行客が戻ってくることを考えると、これまでとは違う新しい層へのアプローチが求められています。特に訪日富裕層旅行客についてはまだまだ誘致しきれていないという見解から、彼らの訪日・滞在の促進を図るための環境整備への取り組みを、国は重視しているようです。富裕層の知的好奇心・探求心に応えられるような上質な観光サービスが求められており、日本の観光産業全体として取り組むべきであると考えているのです。そして、そのなかのひとつとして動き出しているのが、この「上質な観光サービスを求める旅行者の訪日等の促進に向けた文化資源の高付加価値化促進事業」です。

この事業が掲げるビジョンは、観光資源の魅力を極め、地方創生の礎とし、観光産業が基幹産業となるような観光先進国の実現です。その土地の日本文化の永続的な保存継承のため、上質な観光サービスを求める旅行者に対して民間事業者による『文化資源等を活用した継続性の高い新たな観光モデルの創出』とともに、『自立的・持続的な仕組みにより、全国各地に波及させ自発性を育成させる構造の創出』を目的としています。具体的な取り組み事例として、赤坂や京都の迎賓館などの魅力ある公的施設を、公開・開放したり、文化財を、保存優先の考え方からシフトさせ観光拠点として整備したりといった、観光資源の入り口を大きくするものなどがあります。また、国立公園や美観地区をこれまで以上に体験・活用型に改善することも検討されてきました。観光資源・施設の向上だけではなく、規制・制度の抜本的な見直しを含め、人材育成や生産性などソフト面の支援として専門家によるコーチング等によりノウハウや知見を人材・組織に蓄積することも含まれています。

これらの事業戦略やサービスの方向性などは、2020年から観光庁の音頭のもと、「上質なインバウンド観光サービス創出に向けた観光戦略検討委員会」にて、有識者による議論が重ねられてきました。日本の観光の強みや課題を洗い出すことから始まり、ターゲットが求めるもの・ひと・ことについて、また、それらを改善し世界水準まで引き上げるにはどのような支援が効果的かといった内容が話し合われました。それらを踏まえて、2021年4月15日より公募が開始され、全国の文化資源管理団体や地方公共団体、観光協会、民間事業者などから多数応募が集まりました。多くの企業や自治体が「どうすればターゲットの心に響くサービスが提供できるのだろう」、「現状から変化させるべき、お金をかけるべき場所はどこだろう」といった課題を抱えていることがみてとれます。当社グループは、富裕層ビジネスに特化してリサーチやコンサルティングなど多数の実績を積み上げてきた15年以上のノウハウを活かし、静岡県の富士山ラグジュアリーツーリズム構築事業、そして神奈川県の宮大工ツーリズム構築事業の2事業の採択に携わり、事業に伴走させていただきました。

今後、どの観光地においてもインバウンドは当面の間優先検討事項となるでしょう。コロナ明けの観光産業の中ではこれまでよりも競争は激化し、より上質で有益なサービス・施設が求められていくことは明白であり、国も上記のような支援をうちだして促進させようとしています。しかし、これらの情報は、対象全てに認知されているかと言えば、必ずしもそうではない現状があります。公募期間が短いものが多いのも理由のひとつです。一方で公募前の有識者会議などで政策が議論されている、あるいはワーキングループが設置されている、といった情報はオープン情報としてウェブに掲載されていることがほとんどです。それゆえ、その推移を認識できる情報サービスは非常に価値があるということになります。国税を投じて実施される事業を利用して企業活動に活かすなど普通に利用されてしかるべきものが、結果的に利用できていない事態が発生している、その機会損失は、大変もったいないものです。我々が取り組む「政策情報の定期的なリスティングサービス」の普及は、このような国の政策を議論段階からフォローし定期的にリスティングするというものです。

これらの情報を日々収集することは、資本主義や民主主義、あるいは国の動き方を知る上でも、今後ビジネスオーナーに必要とされる思考回路であり、多くの方々に積極的に取り入れていただきたいと思っています。情報取得のhow toやビジネスマインドを醸成していくためのセミナーの開催も随時企画しております。個別のお知らせになりますので、セミナー参加希望者はこちらにお問い合わせください。

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