政府は地方の社会課題を解決し、地域経済を活性化するためにデジタル技術を活用することを目指しています。この取り組みは、スタートアップや中小企業の支援、農業や観光業のデジタル化など、多岐にわたります。この記事では、その主要な目標（KPI）と施策について詳しく解説します。
主要KPI
1. スタートアップ・中小企業の地域定着
○ 目標: 2027年度までに900地域で、社会課題解決に取り組むスタートアップや中小企業の活動を促進し、定着・実装させる。
○ 現状: 2022年6月時点で144地域。
2. 地域経済を牽引する中小・中堅企業の生産性向上
○ 目標: 年2%以上の生産性の伸びを達成する。
○ 現状: 2020年度は-1.2%。
3. データを活用した農業の普及
○ 目標: 2025年までに農業従事者のほぼ全てがデータを活用した農業を実践する。
○ 現状: 2021年時点で48.6%。
4. 観光地経営の高度化
○ 目標: 2027年度までに、旅行者の来訪状況、属性、消費額等のデータに基づいてDX戦略を策定した登録DMOを90団体に増やす。
主要な施策
1. 官民連携によるスタートアップ支援
○ 概要: 新たな技術を育てるベンチャー投資や地域課題を解決する社会的投資を拡充・強化し、スタートアップが育ちやすい環境を整備する。
○ 具体例: スタートアップ・エコシステム拠点都市における創業支援の強化。
2. デジタル農業の推進
○ 概要: デジタル技術を活用して農林水産業・食品産業を成長産業化し、地域の活性化を図る。
○ 具体例: センサーやリモート制御による農機の遠隔操作、ドローンによる農薬や肥料の適量散布、AIを活用した熟練者の技術の再現、アシストスーツによる作業の軽労化。
3. 中小企業のDX支援
○ 概要: 地域の産学官の専門家や地域の金融機関による中小・中堅企業のDX支援体制を全国に構築し、経営人材や専門人材の確保を支援する。
○ 具体例: 支援コミュニティの立ち上げや地域企業のDXに係る戦略策定の伴走型支援、ITベンダー等とのマッチング支援。
4. 観光業のデジタル化（観光DX）
○ 概要: 観光分野のDXを進めることにより、旅行者の利便性向上および周遊促進、観光産業の生産性向上、観光地経営の高度化を図るとともに、事業者間・地域間のデータ連携を強化し、広域での収益の最大化を図る。
○ 具体例: シームレスに予約・決済が可能な地域サイトの構築による利便性向上・消費拡大、顧客予約管理システム（PMS）の導入等による業務効率化・高付加価値化。
スタートアップ・エコシステム拠点都市の形成
● 目的: 世界と伍するスタートアップ・エコシステム拠点を形成するために、地方自治体と大学と民間組織（ベンチャー支援機関、金融機関、デベロッパー等）を構成員とするコンソーシアム（協議会等）を8か所選定。
● 取り組み: 拠点都市のスタートアップ企業を中心に、海外トップレベルのアクセラレーターや世界の中核大学等との連携によるアクセラレーションプログラムを提供し、世界で躍動するスタートアップを育成。
スマート農林水産業・食品産業の推進
● 概要: デジタル技術を活用して、農林水産業や食品産業の効率化と生産性向上を図り、地域経済を活性化させる。
● 具体例: センサーやリモート制御による農機の遠隔操作、ドローンによる農薬や肥料の適量散布、AIを活用した熟練者の技術の再現、アシストスーツによる作業の軽労化、ICTを活用した森林施業の効率化や高度な木材生産、デジタル林業戦略拠点の創出、デジタル水産業戦略拠点の創出、eMAFFによる行政手続のオンライン化等。
地方大学を核としたイノベーション創出
● 概要: 地方大学を核とした産学官連携・オープンイノベーションを促進し、地方色豊かなイノベーション拠点を全国に展開する。
● 具体例: 「地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージ」（令和4年2月）を踏まえた地方大学の活性化に向けた取り組みの総合的な推進。
政府は、これらの施策を通じて地方の社会課題を解決し、地域経済を活性化するために取り組んでいます。デジタル技術の活用が鍵となり、地域の特性を生かした多様なアプローチが進められています。
