日本政府は、スタートアップ企業の創出と成長を支援するため、IT分野の若手人材を対象とした育成プログラム「未踏事業」の成果をさらに広げる取り組みを進めています。この取り組みは、ディープテック分野にも展開され、優れた起業家の発掘・育成を目指しています。
未踏事業の拡大と横展開
「未踏事業」は、未踏的なアイデアや技術を持つ若手IT人材を発掘し、育成するプログラムです。これまでに約400人が起業や事業化を達成しており、その成果を他分野にも広げるための横展開が進められています。
● ディープテック分野への横展開
○ NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)
■ 世界で戦えるディープテック・スタートアップを創出するため、技術シーズを基にしたビジネスを構想・推進する優れた起業家の発掘・育成を行います。
■ 研究開発や市場調査支援、起業・事業経験者によるメンタリングを実施し、若手人材の発掘事業と研究者等の起業家育成事業を展開しています。
■ 2025年度の実績:若手人材発掘事業は35件、起業家育成事業は28件が採択され、2026年度はそれぞれ52件と審査中となっています。
○ 産総研(産業技術総合研究所)
■ 若手人材が産総研の先端的研究設備を活用し、ディープテック分野で独創的な研究開発を推進し、社会課題の解決に挑戦する事業を行っています。
■ 産総研の外部利用可能な共用設備(例:AI橋渡しクラウド)を活用し、研究開発を支援します。
具体的なプログラムと支援
以下は、具体的なプログラムとその支援内容です。
1. 若手人材等の発掘事業(開拓コース)
○ 最大300万円の支援を提供し、未踏的なアイデアを持つ若手人材を発掘します。
2. 研究者等の起業家育成事業(躍進コース)
○ 最大500万円または最大3,000万円の支援を提供し、技術シーズを基にした事業構想を持つ研究者の起業を支援します。
期待される効果
この取り組みにより、以下のような効果が期待されます。
1. 優秀な人材の発掘と育成
○ 未踏的なアイデアや技術を持つ若手IT人材が発掘され、プロフェッショナルによる育成が行われます。
2. スタートアップの創出と成長
○ 育成された人材が新たなスタートアップを創出し、その成長を支援します。
3. 技術シーズの事業化
○ ディープテック分野での研究開発が進み、技術シーズが実際のビジネスとして事業化されることが期待されます。
まとめ
日本政府は、スタートアップ企業の育成を支援するため、IT分野の若手人材を対象とした「未踏事業」の成果を他分野にも広げる取り組みを進めています。特にディープテック分野では、NEDOや産総研を通じて優れた起業家の発掘・育成を進め、社会課題の解決とスタートアップの成長を促進しています。この取り組みにより、日本のスタートアップエコシステムがさらに強化され、経済成長に寄与することが期待されています。